「聞き流すだけ」に秘められた嘘?

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聞き流すだけは100%嘘ではないし100%本当でもない

英語を身につけられる教材は、
よく「聞き流すだけで」という宣伝を見かけます。


確かにいそがしい毎日、
しかも多くの人が

「英語くらいは話せるようになりたい」

と考えている中で、

「聞き流すだけで英語が話せるようになる!」

という宣伝文句は魅力的に感じますよね。


でも、そうした人たちの頭の中には多分、

「聞き流すだけって本当に効果があるんだろうか」

という疑問が同時にわいているのではないでしょうか。


実はこの「聞き流すだけ」の学習法、

効果があるのはある一定の条件を満たした

ほんの一部の人たちだけです。



「聞き流すだけ」 その謳い文句の裏に隠されているのは

それならなぜ、多くの教材が、人目もはばからず
「聞き流すだけで英語が話せるようになります」
と謳っているのでしょう。

それは、多くの人が、その程度の努力、
あるいはできれば努力をせずに英語を身につけたい、と
考えているからです。


広告は、物を買ってもらうために
お金をかけてしているものですから、
できるだけ多くの人が魅力に感じる甘い言葉を使うわけです。


日本人にとっての英語は、
中学、高校の授業にも科目としてあることからも分かるとおり、
第一外国語です。

日本人には多かれ少なかれ、

学校で最低でも6年間は習っているのに
英語が話せるようになっていないなんて

という思いがあります。


誰もが無意識に、
英語「くらい」話せるようになりたい、
と思うのは、そういった背景があるからです。

また、世界のどこに行っても
とりあえず英語が話せれば
何とかなることが多いという事実も
せめて英語くらいは話せるように・・・
という気持ちをより後押ししているでしょう。


実際私も、海外旅行で
英語が話せることで迷子になったときに助けられたことや、
英語での会話が通じるからできた友人、
英語が分かるからこそできた経験がたくさんあります。


「聞き流すだけで」という宣伝文句は、

英語くらい話せるようになりたい

できるだけ少ない努力で話せるようになりたい

という両方の気持ちを持っている人が

日本には溢れているということが分かっているからこそ

打ち出せる広告戦略なのです。

日本に住む日本人が、
英語に関して何を望んでいるのかを反映している
わけですね。


試しに他の外国語、
スペイン語やイタリア語などで
「聞き流すだけ」を謳っている教材を探してみてください。
ひとつか、見つかってもふたつくらいのものでしょう。

一方で英語はどうかというと、
「聞き流すだけ」という教材は調べる間でもなく
思いつくだけでもいくつもありますし、
広告を注意深く見ていると
「聞き流すだけ」教材はどんどん増えていっているのです。

・・・?

・・・・?

・・・・・?

おかしいですね。
「聞き流すだけ」が本当に誰にでも効果があるなら、
他の言語の教材でも、そういった内容のものが
もう少し出ていてもいいはずです。


英語以外の外国語の教材に「聞き流すだけ」が少ないのは、
もともとその言語を学びたいと考えている
日本人が絶対的に少ないので、
「数撃ちゃ当たる」戦法の宣伝は
打ってもムダに終わることが分かっているからでしょう。


「聞き流すだけ」という学習法は、
努力対効果が理にかなっているから取り入れられる、
というよりは、

より多くの潜在的消費者(商品を買ってくれそうな人)の

心に訴えやすいから、という理由で

使われているに過ぎないことが分かります。


本当にあなたに英語が話せるようになってほしい、
という純粋な思いよりも、
とにかくできるだけ多くの人に商品を買ってもらおう、
というために「聞き流すだけ」という言葉が使われているのです。
まったく本末転倒な、笑い話というほかはありません。


さて、ここまではからくりを暴くために
「聞き流し」の裏側に隠された部分についてお話してきましたが、
そうは言っても「聞き流し」という学習法に
まったく効果がないかというと
そうではないこともきちんとお話すべきでしょう。

聞き流し」をするだけの学習法も、
ある程度条件さえ揃っていれば、
英語を上達させるのにしっかり役に立つ
からです。



「聞き流すだけ」 が効果を生むのには条件がある

実は私も、独学で英語を身に付ける過程で、
「聞き流し」の学習法を取り入れ、
めざましい効果を実感したひとりです。

会社から家に帰るとまず、お決まりのビデオを流して
それから上着を脱いだり、荷物をおろしたり。
その音声だけを聞きながら夕飯の支度をしたり
片付けをしたり。


どうでしょう。
こんな風に別のことをしながらの
「ながら聞き流し」で英語が身につく
なら、
こんなに素晴らしいことはありませんよね。

私もこの「ながら聞き流し」をすることによって
英語の語彙や言い回しがどんどん増え、
外国人の同僚とも毎日英語で楽しく会話して、
そこでたくさんの友達も作ることができました

友人たちは日本での仕事を終え国に帰ると、
みんな私を招待してくれたので、
いろんな国に友人たちを訪ねる目的で行って、
友人宅に寝泊まりをさせてもらうことで
普通ではあり得ないような
長期滞在をすることもできました。


でも、ここで声を大にして言っておかなければならないのは、

私が「聞き流す」だけで英語が話せるように

なったのではない、ということです。


まず、「聞き流し」をするだけで
英語が上達するという効果が得られるような
土壌ができてから「聞き流し」という手法を取り入れています。

また、「聞き流し」を実践している最中も、
常に他の手法を併用し、
「聞き流し」の効果が最大限に出るようにしました。


「聞き流し」である程度の効果が得られる
土壌を作ってからのぞんだ、ということと、
「聞き流し」をもとにさらに努力を重ねた、
ということから、私にとっての「聞き流し」は、
ひとつの到達点であり、また出発点でしかなかった
と言うことができます。


「聞き流す」だけの学習法を取り入れられるだけの
準備ができていて、
なおかつ「聞き流す」学習法で聞き流した
英語の言い回しや表現などを定着させ、
実際の会話に活かせるように別の手法も
同時進行で取り入れた場合にはじめて、
「聞き流す」という学習法の持つ醍醐味を
生かし切ることができたのです。


「聞き流す」だけの学習法を何も考えず取り入れた結果、
本当に効果を実感した人がいるならそれは、
上に挙げたような条件を
たまたま満たしている状態で
「聞き流す」という学習法を取り入れたから
でしょう。



楽なはずの「聞き流すだけ」が苦痛に変わるとき

日本生まれの日本育ち、
海外留学経験もない私のところに
英語の学習相談にみえる方の中には、
壁にぶつかってしまってどうにもならなくなり、
どうにかして抜け出したい、という
悩みをすでに抱えている場合も多いです。


その中にも、

勧められて『聞き流すだけ』をやっているんですが、
いつまで経っても聞き取れるようにならないんです

という相談が結構あります。


私がお話を聞くと、なぜ上達しないのか、が
一目瞭然
なのですが、


「もう3か月も続けているのに、
聞き取れない音が少しも減らないんです。

そんな悲痛な訴えは、
「聞き流し」に失敗してしまった人から必ず聞く言葉です。


これさえやれば、英語を聞き取れるようになるんだ。
そう信じて毎日続けてきたのに、
3か月も経っても何の進歩も感じられないのでは
ガックリしてしまって当然ですよね。


中には外国人の講師に週一回教わっていて、
その講師に言われるがまま、
半年以上も「聞き流し」を実践していて、

「先生が言う効果が全然出ないんですけど、
何か私のやり方が間違っているんでしょうか。」

と困り果てて相談にみえる方もいらっしゃいます。


週に一度、レッスンを受けている、というのは
それだけの時間とお金をその講師にかけているわけで、
それなりの信頼もしているから
第三者である私に相談するのもなにか後ろめたいような、
一方で「このままではいられない」という焦りもあって、
悲痛な面持ちを見ると、こちらもひどく胸が痛くなったりします。


どんな学習法であれ、
ある程度の目に見える、実感できる効果が見込めるまでには
しばらくの時間が必要な場合がほとんどです。

それでも聞き取りという分野に関して、
3か月経っても「まったく」効果がない、というのは
今実践している学習法が正しいものではないのは明白で、
すぐに別の学習法に切り替えるか、
他の学習法を補助として取り入れる必要があります。


それを分からずに、誰からも指摘もしてもらえないで
同じ効果のない学習法を年単位で続けていることもザラにあります。


私にとってのLとRの聞き分けも、
この「ザラにある」うちのひとつの例と言えると思います。

意識的にか、無意識的にか、
解決を避けてきた、というところもありますが、
結局のところ、英語を話せるようになるまでの5年以上、
そして話せるようになってからの10年以上も、
LとRをはっきりと聞き分けられるようになれるような
学習法は取り入れられていなかったのですから。


ただ、私の場合もそうですが、
聞き分けられなかった音が聞き分けられるようになってから
種明かしをすると、
「なぁんだ、そんなことだったのか」と
拍子抜けしてしまうような些細なことが
聞き分けができるようになるためのだったりします。


「ちっとも英語が聞き取れるようにならないんです」

と相談に来た方も、私がいくつかの解決法をあげて
実践していただくと、

たったこれだけの違いで効果が出るようになるんですね

これっぽっちのことを知らなかったために
長い間あんなに悩んでいたのが嘘のようです
。」

など、みなさん口を揃えて、意外だ、
そしてもっと早く知っていれば、とおっしゃいます。


また、
似たような相談を別の人から受けるたびに、

「同じような悩みを持つ多くの人に
『これ!』というひとつの答えを
用意しておくことはできないだろうか」

と、居ても立ってもいられないような気持ちを
抱いてきました。


今回、英語のLとRの聞き分けに関してだけは、
長年探し求めていたひとつの「答え」を
用意することができて、
とても嬉しく、またほっとした気持ちでいます。






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